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不安障害(パニック障害・強迫性障害・社会不安障害など)

Anxiety disorder

要因・背景

不安を感じるという状態は、人が生きていくうえで必要な反応です。危険が迫っているのに不安を全く感じないようなら、命を失うことにもなりかねません。しかし、その不安が過剰に現れてしまい、日常生活に支障をきたしてしまう状態が不安障害です。

パニック障害

代表的なものにパニック障害があります。突然にきっかけもなく、不安・動悸・胸部苦悶感・めまい・息苦しさ・恐怖感におそわれます。初めての発作では、心臓に何か異常が起きたと考え救急車を呼ぶ方もおられます。パニック発作は死んでしまうのではないかと感じるほど強く、ご自身でコントロールすることが困難です。再び発作が起きるのではないかという不安から、発作が起きやすい状況や場所を避けるようになります。(予期不安)

強迫性障害

強迫性障害は、自分でも「ばかばかしい、不合理だ」とわかっているにもかかわらず、ある考えや行為を止められなくなり、それによって日常生活に支障が生じる病気です。
不安や不快な気持ちが頭から離れず、抑えることもできない状態を強迫観念と呼びます。
強迫観念を減らすために、繰り返し、または長い時間をかけて行ってしまうことは強迫行為です。

診療の場面でよくみられるタイプは不潔恐怖で、手や体が汚れてしまったと過剰に感じてしまい、手洗いを何度もしないと気が済まない、入浴に非常に時間がかかる、素手で物に触りたくない、人とすれ違う際に体が触れないように神経を使う、夏でも手袋をしないと外出できないといった症状です。
他には、家のドアや窓のカギをかけたか心配で何度も確認してしまう。確認して外出したにもかかわらず、気になり始めると引き返して確認せずにはいられない。ガス栓や冷蔵庫の扉が開いているのではないかと不安になる。家が火事にならないか?泥棒が侵入するのではないか?と考えて過剰に心配になるといった症状の方もいらっしゃいます。

社会不安障害

社会不安障害とは、ある特定の状況や人前で何かをするときに緊張が高まって不安になったり恐怖を感じ、しだいにその様な状況を避けるようになる病気です。緊張することはだれでも経験しますが、経験を重ねていくうちに慣れていくものです。しかし、この症状のため自分でも不合理と思っているにも、どんどんエスカレートし日常生活に支障が生じます。
緊張や不安から、冷や汗が出る、手足が震える、ドキドキする、顔が赤くなる、恐怖を感じるといった症状が起きます。人前での発表や司会をしなければならない、人数が少なくお互いの顔を常に見る状態では特に緊張・不安が高まり、声が震えてしまったり頭が真っ白になってしまう方もおられます。そのようなシチュエーションをしだいに避けたり逃げるようになることを回避行動といいます。
動悸や震えは甲状腺機能亢進症等でもみられるため、その疑いがあれば血液検査が必要です。
また、パニック障害と似ている場合もありますが、それが特定の場面で起きるのか理由もなく発作が起きるかにより見分けられます。

治療について

これらの不安障害は薬物治療および認知行動療法を中心に行われています。治療薬は主に前述したSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)を投薬します。効果が現れるまでには個人差があり、2~8週間で少しずつ症状が緩和されます。その間の不安の軽減には即効性のあるBZ系抗不安薬が使われることが多く、震えや動悸、発汗などが強い方にはβ遮断薬を用いる場合があります。それぞれの薬剤には、長所・短所がありますが、患者様に合う組み合わせで治療していきます。

認知行動療法には、主に臨床心理士による心理療法が行われています。認知の歪みがあれば修正していく、不安対処訓練、社会技術訓練、段階的暴露法、集団精神療法などがあります。