要因・背景
現代社会はあらゆる場面でストレスにあふれています。学生さんから、主婦の方、高齢者の方々や勤労者の方々は様々な悩み、対人関係・家庭内のトラブル、いじめやハラスメント、オーバーワークなど、うつ症状を引き起こす さまざまな要因にさらされています。それらによって、心身の健康を崩してしまう可能性は誰にでもあります。
誰もが悲しい出来事やつらい状況に遭遇した時には、一時的に抑うつ状態に陥ることがあり、それは病気ではありません。人間として当たり前の反応であり、時間の経過とともに回復することが普通です。しかしながら、一部の方々はなかなかうつ症状が改善せず、次第に日常生活に支障を生じるようになってしまうことがあります。
治療について
こうした状態になったら、一人で悩まず、まずはご相談ください。精神的に弱いから、根性がないからと考え、なかなか受診できずに状態がどんどん悪くなる前に、できるだけ早く治療を受けることが大切です。薬による治療や精神療法でもうつ状態・うつ病は改善することが期待できます。早期発見早期治療、十分な休養、適切な薬物治療により元の生活を取り戻すことが可能です。
薬物治療としては三環系抗うつ薬、四環系抗うつ薬、スルピリドなどの前の世代薬などがあります。
新しい世代の抗うつ薬として、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)、SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)、NassA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬)などが登場しています。最近は後者の薬剤が第一選択になっており、症状や年齢、副作用などを考えて患者様に合わせて処方します。
また、併発する不安症状・不眠・胃腸症状等への投薬も行われることがあります。
うつ状態・うつ病の薬物治療の重要なポイントは、「十分な量を、十分な期間」服用することが大切であると言われています。最適な服薬量をできるだけ早く見出すことが重要です。
もちろん多すぎる薬物治療は避けなければなりません。しかし改善のために必要な服薬量が不足し患者様の回復が遅れないよう注意すべきです。