〒171-0014 東京都豊島区池袋2-53-8 秋島ビル2F
03-6709-0080

双極性感情障害(躁うつ病)

Manic depression

要因・背景

双極性障害(躁うつ病)については、うつ病の状態から発症した場合は、そこにストレスやオーバーワーク、その他の様々な要因があります。しかし、その後、うつ状態と躁状態が交互に現れる病状は、脳内における気分や調子のコントロール機能のアンバランスがあります。例えるならアクセルとブレーキの調整がうまくいかない状態であると考えると理解しやすいかもしれません。(アクセルのみで車はうまく運転できませんよね。アクセルを離しても車はすぐには止まれません)

病気の経過と必要な配慮

うつ病は、うつ状態の症状だけが現れる病態です。単極性うつ病とも呼ばれます。
それに対して、双極性障害はうつ病相だけでなく、躁状態の症状も認められ、両方の病相が周期的に交代する経過がみられます。

躁状態では睡眠不足であるにかかわらず元気に活動ができる、気分が高揚し過活動になってしまう、相手の都合を考えずメールや電話をしすぎる、先を考えずに浪費が増えたり(買い物を我慢できない等)、返済ができないにもかかわらずクレジットカードなどで借金・負債を抱える、過度な自信・誇大的な考えから社会的に逸脱した行動が自制できず、社会生活に支障をきたすこともあります。

躁状態は、ご自身にすれば、すこぶる好調であるとしか思えず、病的な症状であると気が付かない患者様も少なくありません。診察の場面ではそのようなエピソードに気が付かず、単なるうつ状態・うつ病への治療しかなされないことがあります。その場合、逆に気分や調子の浮き沈みが激しくなり、病状がさらに悪くなるケースがあります。

私は、数多くの診療経験から、この症状(エピソード)については初診の面接から常に細心の注意を払い、過去にそういった症状がなかったか、家族や友人に指摘されたことはないか丁寧にお伺いしております。
過去に受けた治療で、そのことに気づいてもらえず、何年も不安定な状態が続いていた方が、診断の変更、お薬の見直しにより劇的な改善を得られることは少なくありません。

長い経過の中で、数年間うつ症状だけが先行し、そののちに躁病の症状が出現する方もおられます。そのようなとき、「うつがすっかり良くなった」「自分はうつ病が完治した」と思われる患者様がいらっしゃいます。躁状態の程度が軽い方(軽躁と言われます)は、その状態が本来の自分であると思い込み、調子や気分の波を「うつ病がぶり返してしまった」と訴えられることも珍しくありません。
病的な軽躁・躁状態は決して長くは続きません。必ずと言ってよいほど、反動でうつの波がやってきます。躁状態の好調からうつ状態の谷間へ落ちてゆくときの落差が、大きければ大きいほど、病状のつらさが大きくなります。

双極性障害では、「躁病の波とうつ病の波を、いかに小さくしてコントロールできるか」が患者様の回復への重要な治療目標になります。

症状

  • うつ病の諸症状 *「うつ病・うつ状態」の頁をご参照ください
  • 気分が高揚する(周囲からテンションが高過ぎると指摘される)
  • 多弁になる 電話やメールをしすぎる 短い睡眠時間なのに元気である
  • お金を使いすぎる 次々にいろいろな考えが浮かぶ 注意力が散漫になる
  • 怒りっぽくなる 切れやすい イライラする 他者に八つ当たりしてしまう
  • 誇大的になり根拠のない自信に満ちあふれる 社会的に逸脱した行動を抑えることができない

治療について

まずは、病相の波を安定化することが優先です。炭酸リチウム・バルプロ酸ナトリウム・カルバマゼピン・ラモトリギンなどの気分安定薬。あるいは、非定型抗精神病薬の中で双極性障害に効果があることが認められた薬。病相の波がある程度おさまったのちに、状態によって抗うつ薬を少量投与する場合もあります。抗うつ薬は一方的に気分や調子が上がりすぎることもあるので、患者様を丁寧にみながら慎重に使います。