要因・背景と症状
アルコール依存症は、アルコールに対して精神依存、身体依存、耐性の三要素がそろった時に 診断されます。飲酒がやめられない、酒量を抑えられない、酔うと問題行動を起こすなどです。「ブラックアウト」と呼ばれる、酔ってからの記憶がなくなる、いわゆる酒乱で酔うと暴力をふるい警察沙汰のトラブルを起こすなどもあります。身体依存がある場合は、離脱症状と呼ばれる身体症状(冷や汗・振戦・動悸・せん妄などの症状)を引き起こし、ひどい場合は入院が必要となります。
女性では毎日の台所仕事をしながら、ついちびちび飲んでしまう行為が止められない方が、実は依存症になっていたということもあります。男性の患者様に多い病気ですが、女性の場合は依存症が形成されるまでの期間やお酒の量が少ないといわれています。
あまり知られていませんが、アルコール依存症の患者さんは、うつ病を合併していることが多く、うつ症状のつらさから逃げるため、あるいは眠るために飲酒がやめられない方がいらっしゃいます。
酔うと一時的な大脳の麻痺がおき、楽になったと感じる場合があるのは事実ですが、24時間酔ったままではいられません。また、アルコールという物質は薬理学的にはダウナーの(うつを悪化させる)性質があり、飲酒でうつ症状が悪化⇒つらさからの逃避でまた飲酒⇒ますます悪化するという悪循環に陥ってしまうことがあります。