要因・背景
この病気は10歳代後半から30歳代前半の思春期、青年期に発症しやすい疾患です。有病率は0.8~1.2%といわれており、決してまれな疾患ではありません。生まれながらの病気になりやすい素因とその後の人生におけるストレス要因が重なると、脳内の神経系に異常をきたして発症すると考えられています。
脳内の神経ネットワークにトラブルが生じると知覚(聴覚、視覚、味覚、嗅覚、触覚)に問題が起こります。幻覚や幻視、幻臭、体感幻覚といった症状が現れます。思考の障害が生じると、被害関係妄想や支離滅裂な言動、自分の考えたこと他人に知られている、誰かが自分を監視している気がするといった症状につながります。症状が激しい場合、精神運動興奮、錯乱状態になってしまうこともあり、入院が必要となることもあります。
あるいは意欲発動性の低下や感情の平板化、無関心、自閉的な生活に陥ることもみられます。社会機能や認知機能が次第に低下していくことが知られています。
経過は人によりさまざまで、ごく軽症なレベルでは医療にかからず日常生活が可能な方もいらっしゃいます。治療薬が良く効いてコントロールが良好で外来治療のみで生活できる方、仕事をされている方もいらっしゃいます。
コントロールが難しく、入院と退院を何度か繰り返す方、長期の入院をせざるを得ない方もみられ、経過は人それぞれ異なります。
経過を予測することは難しいのですが、発症早期からの治療が重要であると認められており、早い時期からの専門医による適切な治療が大切です。